不動産売却で必要不可欠な「媒介契約」について、「そもそもどんな契約なの?」「結ぶときの注意点は?」などわからないことは多いです。
もし、媒介契約を正しく理解せずに売却を始めると、囲い込みをされたり、売却期間が長引くなど、何ひとつ良いことはありません。
ですから、希望する金額で売りたいならば、媒介契約の「内容」や「種類」を正しく理解しておく必要があるんです。
結論をお伝えすると「媒介契約には知っておくべき7つのポイント」があります。
- 媒介契約を締結するタイミング
- 媒介契約3つの種類
- 契約期間
- 費用はかかる?
- 必要書類は?
- 解約は可能か?
- 代理契約はできる?
項目は多いですが、どのサイトよりもできるだけシンプルにわかりやすくお伝えします。
この記事では「媒介契約についての基本的な知識」を解説しつつ「売却を成功させる媒介契約の結び方」についても紹介します。
ぜひ、最後まで読んでいただき、高額売却を実現させてくださいね。
不動産売却において「媒介契約」が重要な理由
不動産の売却で最も重要なのが「媒介契約」です。
媒介契約を締結する会社しだいで「売却が成功するかどうか」が決まります。
そもそも媒介契約とは「売主さん」が「不動産仲介会社」との間で締結する契約です。
「売主さん」と「買主さん」で締結する「売買契約」と間違いやすいのですが、わかりやすく言うと、不動産会社に「売ってください!」とお願いするための契約。
不動産会社に売却を依頼する際は、この媒介契約の締結が宅建業法で義務付けられています。
そのため、媒介契約を依頼する会社はしっかりと見極めなければいけません。
仮に「信頼できない会社」や「悪徳な業者に依頼」してしまうと、囲い込みをされたり、安くで売らないといけなくなったりします。
また、適当な会社と契約すれば「報酬」や「広告料」などの諸条件で、後々トラブルになる可能性だってあるのです。
大切な資産を売却するのですから、誰だって「失敗」や「トラブル」は避けたいもの。
ですから、不動産を「高く」&「安心」して売るために媒介契約の内容・条件を明確にして、信頼できる会社とだけ締結する必要があります。
次の章では、媒介契約についてさらに細かく解説しつつ、注意点なども紹介していきます。
媒介契約における7つのポイント
ここからは、媒介契約に関して詳細な事項をお伝えします。
査定を依頼する前に知っておくべき基本的なことを、できるだけシンプル且つわかりやすく紹介します。
具体的には以下の7つの項目です。
- 媒介契約を締結するタイミング
- 媒介契約3つの種類
- 契約期間
- 費用はかかる?
- 必要書類は?
- 解約は可能か?
- 代理契約はできる?
特に重要なのは「【2】3つの種類」と「【6】解約は可能か?」です。
上記2点は、不動産業者が積極的に説明してこない箇所になるので、このタイミングで確認をお願いします。
いつ締結する?
不動産会社と媒介契約を締結するのは「売却依頼をするタイミング」です。
不動産を売却する流れは大きく以下のようになります。
【不動産売却の流れ】
- 査定を依頼して報告を受ける
- 依頼する会社を決める【媒介契約を締結】
- 売却活動開始
- 売買契約の締結
- 引渡し
媒介契約を締結するのは、査定報告を受けたあと。
まずは査定を依頼して「売却価格」や「算出の根拠」を確認するのが大切です。
何より、依頼する「会社」や「担当者」が信頼できそう(仕事ができそう)かを見極めることも重要だと言えます。
査定報告を受けて、売却を依頼したい会社が決まったら、そのタイミングで不動産会社と媒介契約を締結します。
その際に、後々トラブルにならないよう「媒介の種類」や「報酬額」、「期間」などの諸条件を取り決めるのです。
媒介契約の3つの種類
媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3つの種類があります。
それぞれ、契約の内容に違いがあるので表でまとめてそれぞれを解説します。
【媒介契約3種類】
専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
複数社と契約 | × | × | ○ |
売主自らの自己取引 | × | ○ | ○ |
指定流通機構への登録義務 | 5営業日以内※1 | 7営業日以内※1 | 任意 |
売主への報告義務 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 任意 |
※1・・・媒介契約の締結日の翌日から起算
【1】専属専任媒介契約
専属専任媒介契約は、3つの中で「最も制約が厳しい」のが特徴です。
「専任媒介契約」や「一般媒介契約」とは異なり、「専属専任媒介契約」では売主さんが自ら買主さんを探すことをNGとしています。
つまり、絶対に依頼する会社を通してでしか取引することができないのです。
売主さんに対して強い制約を設ける代わりに、不動産会社に対しても厳しい内容が課せられます。
指定流通機構への登録は「5日以内」に行わなければならず、売主さんへの業務報告も最低1週間に1度は必須です。
ですから、不動産会社に対して「こまめな報告をしてもらいたい人」にオススメだと言えます。
【2】専任媒介契約
専任媒介契約は「専属専任媒介契約同様に1社とだけ締結ができる媒介契約」です。
「専任媒介契約」では、売主さんが自ら買主さんを探すことをOKとしています。
さらに、業務報告も2週間に1度なので、それらの点で専属専任媒介契約よりも制限が緩いです。
ちなみに「専任媒介契約」と「専属専任媒介契約」には、締結にあたり1つ注意点があります。
上記いずれかの契約も「1社」の不動産会社としか契約ができないので「囲い込み」をされる可能性があるのです。
囲い込みとは、売却の依頼を受けた不動産会社が『まわりを欺き』自社だけで売買取引を完結させようとする行為。
この囲い込みが行われると売主側としては、販売が長期化するなどのデメリットしかありません。
ですから、「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」で依頼するときは、「囲い込みされていないか定期的にチェック」しなければいけません。
囲い込みに関する知識は以下の記事にまとめていますので、この機会にチェックしてください。
【3】一般媒介契約
一般媒介契約は「複数の不動産会社に対し同時に売却を依頼できる」契約です。
複数社に依頼をすれば、不動産会社間で競争が働き、売却がスムーズにいくケースがあります。
加えて、売主さんが購入希望者を直接見つけて取引することも可能です。
また「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」と異なり、指定流通機構(※レインズ)への物件情報登録義務がないのも特徴です。
そのため、売主さんに対する業務報告もありません。
ただし、一般媒介契約に関してはデメリットも存在します。
媒介契約は締結すると、「ハウスクリーニング」などのサービスを受けられることがあります。※サービス内容は会社による。
しかし、一般媒介契約を選択すると、そのようなサービスが受けられません。
一般媒介契約は、不動産会社側からすると「かけた分の費用が回収できない可能性がある」ためです。
ですから、一般媒介契約に関しては「人気のマンション」や「駅近くの不動産」「築浅物件」などを売却したい人にオススメだと言えます。
契約期間は?
媒介契約には、契約期間が存在します。
それぞれの契約期間に関しては以下の通りです。
【媒介契約の期間】
専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
契約期間 | 3カ月以内 | 3カ月以内 | 原則なし |
「専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」に関しては3カ月以内とされています。
仮に、業者・売主ともに「4カ月」で合意・契約しても「3ヶ月が最長」という考え方です。
一方で、一般媒介契約に関しては、期間の取り決めがありません。
しかしながら、専任媒介契約などと同様に、3カ月で契約することが一般的です。
費用はかかる?
どの媒介契約の締結に関しても、費用がかかることはありません。
不動産の売却で費用が発生するのは、売却が成立したときのみだからです。
売ってくれた会社に対して成功報酬(仲介手数料)を支払えばOK。
ただし「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」では注意が必要です。
仮に上記2つの契約で、売主都合による「媒介契約期間内(売却中)での中途解約※1」をした場合、かかった広告費などを請求されるケースがあります。
※1「売主都合での売り止め」や「売主都合での他社への乗り換え」
実際に費用を請求してくる不動産会社は多くはないのですが、仮に請求されたら明細の提出を求めるようにしてください。
もし、納得のいかない場合には説明を依頼し、それでも腑に落ちないときは、宅建協会等に相談するのをオススメします。
必要書類は?
媒介契約の締結に際し、必要な書類がいくつかあります。
- 本人確認資料
- 住宅ローンの返済予定表
- 契約当時の書類(パンフレット・売買契約書・重要事項説明書)
- 登記事項証明書 & 土地の測量図(戸建て)
【1】本人確認資料
媒介契約を締結する際は、本人確認のための資料が必須です。
具体的には「運転免許証」や「パスポート」などがあれば問題ありません。
併せて、身分証明書のほかにも「認印」が必要。
認印に関しては、実印でなくても良いのですが、シャチハタは不可です。
【2】住宅ローンの返済予定表
売却物件の住宅ローンを返済中のときは「ローンの返済予定表」が必要です。
売出し価格を決める際に、ローンの残債が1つの目安になるからです。
物件を売却して買主さんに引渡すとき、必ず返済中の住宅ローン残債をゼロにしないといけません。
ですから、ローンの残債を下回るような価格で売る場合は、手持ち資金の投入が必要とされます。
ローンの金額を「売り出し価格」と「自己資金」でゼロにできるかを把握するために必ず用意をしましょう。
【3】契約当時の書類(パンフレット・売買契約書・重要事項説明書)
売却不動産を購入した際の「不動産売買契約書」や「重要事項説明書」があれば、準備をお願いします。
併せて「パンフレット」や「図面」などの資料があれば、不動産会社に見てもらうようにしてください。
当時の資料があると、必要な情報がすぐに得られるためスムーズな売却が可能です。
また、重要事項説明書などがあれば売却する際の注意点などがわかるので、後々のトラブルを事前に回避できます。
基本的に売却を依頼する会社が調査をしてくれますが、事前に資料を渡すことは確実にメリットです。
【4】登記事項証明書 & 土地の測量図(戸建て)
登記事項証明書は、物件の「内容」や「所有者」などが記載された書類です。
この書類を基に、本人確認が実施されます。
戸建ての場合、登記事項証明書の他にも「土地の測量図」がないかチェックしてみてください。
もし、登記事項証明書・測量図がない場合は、法務局で取得ができるので、依頼する不動産に取ってもらうようお願いしましょう。
解約したい場合は?
媒介契約を締結したにもかかわらず、契約を中途解約したいときは、いくつか条件を満たす必要があります。
「契約の種類」や「解約したい内容」によっては、解約ができない可能性があることを知っておいてください。
まず「一般媒介契約」の場合、いつでも媒介契約の解約が可能です。
解約の理由も問われません。
一方で「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」に関しては、原則契約期間中は中途解約は不可です。
特に、売主の自己都合による中途解約には、明確な理由が必要とされます。
ただし、以下に該当するようなときは、中途解約が可能です。
- 不動産会社が専任媒介契約(専属専任媒介契約)に係る業務について信義を旨とし誠実に遂行する義務に違反したとき
- 不動産会社が専任媒介契約(専属専任媒介契約)に係る重要な事項について故意もしくは重過失により事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしたとき
- 不動産会社が宅地建物取引業に対して、不正または著しく不当な行為をしたとき
上記は、簡潔に述べると依頼した不動産会社に「落ち度」があった場合。
要は、取引に際して「会社側に信用できない理由があった際」は、中途解約して他社に依頼するなどが可能なのです。
ですから、最初に売却を依頼する会社を見極めることが重要になってきます。
具体的に「信用できる会社を選ぶ方法」については、次章で詳しく解説します。
代理でも締結できる?
媒介契約は、本人がいないときでも、代理人を選別して契約することができます。
代理人に手続きを依頼する際は、必ず「委任状」が必要です。
例えば、以下のようなケースだと代理での手続きがオススメです。
- 売却物件が遠方にある場合 ※親族が売却物件の近くに住んでいる
- 売主さんが高齢で息子や娘に依頼するケース
- 不動産を共有で所有しており1人を窓口に据えるケース
代理手続きは、媒介契約以外の「売買契約」や「引渡し」でも可能です。
しかしながら「委任状」をはじめ、「本人確認資料」や「印鑑証明書」等が必要になります。
「必要書類」や「手続き」は、会社によって異なるため詳しくは依頼する会社の担当者に確認するようにしてください。
不動産売却を成功させる「媒介契約」の結び方
前章で「媒介契約」でのポイントを解説しましたが、実際に覚えることが多くて大変ですよね。
正直な話をすれば、7つのポイントを完全に理解している売主さんはほぼいません。
ポイントを熟知しなくても、「あること」を抑えるだけで「媒介契約」&「不動産売却」を成功させることは十分に可能なのです。
その「あること」とは「信頼できる不動産会社もしくは担当者を見つける」こと。
信頼でき、仕事の丁寧な人に依頼できれば、以下のようなメリットがあります。
- 媒介契約書の内容を詳しく説明してくれる
- それぞれの媒介契約のメリット、デメリットを解説してくれる
- 3つの媒介契約でどれが良いかを提案してくれる
- スピーディーかつ安全に取引してくれる
媒介契約に関しては、依頼する物件によって「どの契約が良いか」が変わります。
ですから、依頼をしたいと思える会社から直接説明を受けるのが正解なんです。
「一括査定サイト」は無料で利用ができ、複数の「会社(担当者)」と「査定額」を簡単に比較ができます。
複数の担当者から話が聞けるので、信頼できる人にお願いできる確率がグンとアップするのです。
「優秀な担当者に任せること」は、安心かつ高値での売却に必須の条件。
そのため、担当者選びにはとことんこだわりましょう。
ちなみに当サイトでは、日本にある一括査定サイトを全て検証し「本当に使うべき不動産一括査定サイト」を比較していますので、ぜひ参考にしてみてください。
【まとめ】媒介契約を制するものは不動産売却を制す
不動産の売却で依頼する会社を決める「媒介契約」は最も重要です。
媒介契約を理解しつつ、信頼できる会社を見つけることが高額売却に直結します。
媒介契約に関しては、以下7つの項目をチェックしてください。
- 媒介契約を締結するタイミング
- 媒介契約3つの種類
- 契約期間
- 費用はかかる?
- 必要書類は?
- 解約は可能か?
- 代理契約はできる?
7つのポイントで特になのは「【2】3つの種類」と「【6】解約は可能か?」。
上記2点は、不動産業者が積極的に説明してこないためです。
しかしながら、信頼できる担当者を見つけられれば、デメリットに関しても包み隠さず説明してくれるので安心できます。
売主さんの要望を正しく理解して、提案してくれる人は確実に存在するのです。
もし「どうやって優秀な担当者を探せばいいかわからない」と思っているなら、『一括査定サイト』の利用がオススメ。
一括査定サイトを使えば一度で複数社に相談できるので、信頼できる担当者を見つけやすいですよ。
実際にサイトの編集長も、売却に際し一括査定サイトを利用して「複数社の査定」を比較検討した結果、190万円も高く売却できています。
また、以下の記事では日本にある一括査定サイトを全て検証し、「本当に使うべき不動産一括査定サイト」を比較しています。
ぜひ、あなたに最適な一括査定サイトを選んでみてください。
あなたに適した「会社」や「担当者」を見つけて、高値での売却を目指しましょう!