再建築不可物件は、「活用性が低い」「住宅ローンが利用できない」などデメリットが多いです。
そのため、相場価格で売却するのは、ほぼ不可能。
「建物」や「道路付け(接道)」の状態によっては、売りたくても売れないなんてこともあり得ます。
ですが、そんな再建築不可物件も、
- 隣地の人に売る
- 投資物件として売却
- 再建築が可能となる手続きをする
などの戦略を取れれば、高く売れる可能性があります。
・・・・と言われても、一番気になるのは「あなたの物件がちゃんと売れるのか?」ですよね。
それを知るには、実際に査定に出して、複数の「不動産会社」や「担当者」から話を聞くのが一番早くて確実です。
例えば、一括査定サイトを使うと、一度に複数の業者へアプローチが可能です。
複数の業者に相談すれば、再建築不可物件の「専門的知識」や「経験」のある業者にも出会いやすくなります。
実際に私(編集長)も、売却前は一括査定を利用し、「不動産を高く売るための戦略」などを確認しています。
この記事では、再建築不可物件の「売却方法」や「査定額を高くするための施策」について紹介していきます。
査定を行う前に、再建築不可物件の売却に関する情報を一通り確認してみてください。
再建築不可物件は売却できる!【相場価格はいくら?】
再建築不可物件を上手に売るためには、予備知識を入れておくことが大切です。
ここでは、下記の3点について説明していきます。
- 再建築不可物件とは?
- 再建築不可物件はなぜ売れにくい?
- 売るときの相場価格はどれくらい?
再建築不可物件とは?
再建築不可物件とは、再び建物を新築できない「土地」や「その土地に建っている建物」のことです。
再建築できない理由は、建築基準法で決められている「接道義務に違反している」から。
住宅を新築するときは、その土地が、幅員「4m以上」の道路に「2m以上」接していなければいけない決まりになっています。
なぜそのような決まりがあるのかというと、災害等のトラブルが起こった際に緊急車両が通れないためです。
つまり、接道義務を満たすことは、安心して住める街づくりに必要不可欠な条件なんです。
再建築不可物件は、安全性を満たしていないと言えるので、活用方法が極端に制限されてしまいます。
再建築不可物件はなぜ売れにくい?
再建築不可物件が売れにくい理由は大きく2つです。
- 活用性が低い
- 住宅ローンが使えない
【1】活用性が低い
再建築不可物件が売れにくい最大の原因は、活用性が低いためです。
再建築不可物件については、既存建物をリフォームすることしか許されておらず、「建て替え」はできません。
リフォームに関しても、「増築」や「改築」など、建物を大きくするような工事は不可。
つまり、住まいの改修に関して選択肢が著しく制限されるため、買主を探すこと自体が難しいのです。
また、接道義務を満たしていないため、駐車場としての活用も難しいです。
上記のような理由から、再建築不可物件は不動産としての「活用性」「資産性」が低く、売れにくいのです。
【2】住宅ローンが使えない
再建築不可物件が売れにくい原因に、住宅ローンが使えない点も挙げられます。
再建築不可物件は、担保評価が低く、金融機関が融資をしたがりません。
銀行などの金融機関は、リスクを極端に避けるからです。
再建築不可物件は、活用方法が限定的かつ、売却価格も相場より低いので、融資対象としては間違いなく高リスク。
加えて、建築基準法を満たしていないので、その点でも融資を受ける際に不利です。
もし「住みたい」と思った人がいても、銀行がお金を貸してくれないので、結果的に売れにくくなるのです。
売るときの相場価格はどれくらい?
再建築不可物件は、売る相手によって価格が変わってきます。
理由は、買い手によってデメリットの大きさに違いがあるからです。
売却価格のおおよその目安は、以下3パターンです。
- 隣地所有者であれば7割
- 一般的な検討者5割
- 状況によってはゼロも有り得る
【1】隣地所有者であれば「7割」
隣接する土地の所有者に売る場合、価格は相場の7~8割程度と高くなります。
隣地所有者にとって、再建築不可物件がデメリットにならないことがあるからです。
もし、隣地所有者の土地が接道義務を満たしていれば、隣接する再建築不可物件を購入しても、敷地が広くなるだけです。
デメリットは一切ありません。
ですから、一般的な検討者が買うよりもリスクが低いので、高く売れます。
しかし、隣地の人は、申し込みのときに「他の人に売るともっと安くなるんでしょ?だから多少は安くしてね」と高確率で交渉を入れてきます。
私が再建築不可物件を扱っていたときも、ほぼ100%の確率で交渉されてました。
ですが、他の人に売るよりも間違いなく高く売れるので、まずは隣地の人をターゲットにするのがオススメです。
【2】一般的な検討者は「5割」
一般的な検討者に売る場合の価格は、相場の5割程度になります。
再建築不可物件は、活用性が低く、リスクが高い不動産です。
なので、相当安くしないと検討すらしてもらえません。
もし、売却物件が以下のような状態であれば、高い金額で売れるでしょう。
- 建物の状態が良い&築年数が浅い
- 将来的に再建築不可の条件が解消される可能性がある
しかしながら、基本的に相場の半分くらいだと思っておいた方がいいです。
実際に査定して、その位の価格だったときに受けるショックを軽減できます。
再建築不可物件の売却は、それほどに難しいのです。
【3】状況によってはゼロも有り得る
かなり稀ですが、再建築不可物件は、状況によって売りたくても売れないことがあります。
私が営業マンの頃、上司が再建築不可物件の売却依頼を受けたときの話をします。
その物件は、売主さんが相続で取得した一戸建てでした。
もちろん道路には接しておらず、建物もボロボロで、売却するにはハードルが高い物件だったんです。
当時、上司は、会社の上層部も巻き込み、あらゆる「戦略」や「提案」を考え、なんとか売却できないかと模索していました。
しかしながら、最終的に、
- 建物の老朽化が激しすぎる
- 再建築不可が解消される見込みがない
という結論に至り、売主さんに対して「査定ができない」とお断りしていたんです。
私が不動産業に携わる中で、査定ができなかったのは、後にも先にも上記の不動産だけでした。
かなり特殊な事例ですが、査定金額がゼロの可能性もあることを知っておいてください。
もし、売却可能かどうかをすぐに知りたい場合は、複数の不動産会社へ査定依頼をすれば相談できます。
再建築不可物件を売る3つの方法
ここからは、再建築不可物件を売るための具体的な方法をお伝えします。
具体的には、以下の3点です。
- 「再建築可能」にして売る
- 「再建築不可」のまま売る
- 買取
【1】「再建築可能」にして売る
再建築不可の物件は、一定の条件を満たせば、再建築が可能な物件として売ることができます。
普通の物件になれば、販売価格も一気に上がります。
なので、これからお伝えする3点が実現できそうか確認してみてください。
- セットバックする
- 隣地の土地を買う or 借りる
- 建築基準法第43条第2項第2号の許可を受ける
【1】セットバックする
売却したい土地が接している道路が「2項道路」の場合は、セットバックをすれば再建築が可能です。
※2項道路:建築基準法の接道義務が規定される前から、建築物が建てられていた幅員4m未満の道路。
セットバックとは、「道路の中心線から水平距離2mの範囲に建物を建てずに後退させる」ことです。
図で示すと赤い四角の部分。
現状は、4mの幅員を満たしていなくても、「将来的に4mを確保できる」のであれば、再建築が許されるパターンです。
もし、あなたの土地がこれに該当する場合、売却の際は、セットバックの告知義務だけで、特別な手続きは要りません。
買主側が家を建てる際に、気をつければ事足ります。
売却不動産の道路が「2項道路か」や「セットバックが必要か」は、役所でも調べられます。
しかし、基本的には、不動産会社の担当者に調査を任せておけばOKです。
【2】隣地の土地を買う or 借りる
接道義務を果すために、隣地から土地を取得する方法もあります。
道路に接している間口が「2m以下」の場合は、接道義務に反しているので、再建築はできません。
しかしながら、隣地の土地を取り込んで間口を「2m以上」にできれば、再建築は可能になります。
隣地の取得方法については、購入するのがベストです。
仮に、購入できない場合は「借りる」でもOK。(当編集部で特定行政庁に確認済)
でも、実際は購入しておくと次に住む人も安心できるので、そちらを目指したいところです。
隣地所有者との「交渉」や「どのくらいの広さを譲ってもらうか」は、「不動産会社」や「測量士」にお願いすることで、後のトラブルを避けられます。
【3】「建築基準法第43条第2項第2号」の許可を受ける
「建築基準法第43条第2項第2号」の許可を受けると、接道義務を満たしていなくても再建築が可能になります。
引用元:e-Gov法令検索「建築基準法(第43条第2項第2号)」
ちなみに、建築基準法第43条第2項第2号について、以前は、「第43条但し書き道路」と呼ばれていました。
建築基準法第43条第2項第2号で許可を得るためには、
- 既存建築物に問題なく住める
- 接道義務を満たしていなくても安全対策上問題がない
最低限、上記の項目は満たしておかなくてはいけません。
上記2点を満たしたうえで、利害関係者全員への承諾証の取り付けなどの「手続き」や「書面」が必要です。
全てがうまくいって、「特定行政庁から許可」を得た後に、「建築審査会の同意」が得られれば、晴れて再建築が可能になります。
ちなみに、建築基準法第43条第2項第2号で許可を得るためは、半年程度かかります。
さらに、「近隣住民の協力」や「特定行政庁との調整」が必要なので、個人で取り組むのはかなり難しいです。
確実に、プロのアドバイスや手助けが必要になります。
そのため、この制度をちゃんと理解している「不動産会社」や「担当者」を見つけることが大切です。
【2】「再建築不可」のまま売る
上記の手段で再建築可能な物件にできない場合は、再建築不可の状態のまま売出します。
その際にまずやるべきは、「隣地所有者に声をかける」こと。
再建築不可物件の売却のキーパーソンは、隣地所有者だからです。
隣地所有者が「改築」や「増築」を考えている場合は、購入してもらえないか聞いてみてください。
単純に、土地が広くなれば、選択肢が増えます。
また、隣地所有者の土地が接道義務を満たしていたら、再建築不可の土地を買い取ることにリスクはありません。
しかも、あなたは他の人に売るよりも高い金額で売れます。
お互いにwin-winの関係になれるので、売却もスムーズにいくことが多いです。
もし、隣地所有者も自宅の売却を検討しているときは、「一緒に売る」こともありです。
一つの土地として売り出すことで、再建築不可のデメリットを解消できます。
このように、再建築不可物件のままで少しでも高く売るためには、隣地所有者へのアプローチが非常に大事です。
不動産業者を通して、可能な限り「隣地の人に買ってもらう」、もしくは「一緒に売る」ことを目指してみてください。
【3】買取
隣地の人に買ってもらえない、一般の人にも売れないときは、買取も選択肢のひとつです。
買取とは、不動産会社と直接売買契約を結ぶこと。
特徴としては、相場よりも低い価格でしか売れません。
しかも、再建築不可物件となると、相当安くなることを覚悟しておく必要があります。
一方で、すぐに現金化ができるなどのメリットもあります。
また、相手が不動産のプロなので揉めることもありません。
買取は「早く売りたい人」や「安心して売りたい人」におすすめの手段です。
再建築不可物件の売却価格を上げる2つの方法
ここからは、再建築不可物件の売却価格をアップさせる方法について紹介します。
方法は以下の2つです。
- リフォームする
- 投資物件として売る
【1】リフォームする
建物が老朽化しているような再建築不可物件は、リフォームすることで売却価格のアップが狙えます。
単純に、建物のクオリティを上げれば、検討者が増えるからです。
これまで解説してきたように、再建築不可物件は新築できません。
なので、建物を新しくして価値を上げるためには、リフォームしか手がないのです。
ちなみに、先ほど紹介した【業者による買取】は、買い取った部屋を業者がリフォームして再販していることがほとんど。
要するに、老朽化した建物を新築のようにすることで、価格のアップが期待できるのです。
しかしながら、リフォームしたからといって、かけた費用が全てを回収できるとは限りません。
個人で判断すると大きな損失を出す可能性があります。
なので、リフォームを検討する際は、事前に必ず不動産会社の担当者に相談するようにしましょう。
【2】投資物件として売る
再建築不可物件は、投資物件(賃貸物件)として高く売れることがあります。
不動産投資家の中には、利回りが高ければ、条件に関係なく購入する人がいるからです。
あなたが売ろうとしている再建築不可物件が、「利便性が高いエリア」や「人気の学校区」ならこの方法は有効です。
賃貸人は、購入検討者に比べて、再建築不可物件かどうかにこだわりがありません。
そのため、誰からも好まれるようなエリアであれば、借り手はすぐに見つかります。
なので、再建築不可でも、投資物件としては「優良物件」になることがあるのです。
「常に賃貸人がいる物件」や「高い賃料が見込める物件」であれば、投資用として売却したほうが、高く売れる可能性がありますよ。
これについても、優秀な不動産担当者に相談すれば、最適な戦略を立ててくれます。
再建築不可物件を購入した人達の口コミ
売却するには、なかなかハードルが高い再建築不可物件。
そのため、「自宅はちゃんと売れるのかな?」と心配になりますよね。
そこで、ここでは実際に、「再建築不可物件を購入した人」の口コミをTwitterから紹介します。
買った人は、どのような理由で再建築不可物件を購入したのか、チェックしてみてください。
【「隣地所有者」が購入したパターン】
引用元:Twitter
【交渉がスムーズにいったパターン】
引用元:Twitter
【再建築不可物件は、価格が安く、固定資産税も安いというメリットもある】
引用元:Twitter
再建築不可物件を購入した人たちの内容は、以下のようにまとめられます。
- 隣地所有者が敷地を広くするため購入
- 投資用として活用するために購入
- 売買代金や固定資産税等のコストを抑えたい人が購入
どの内容も、これまでにこの記事で紹介してきたものばかりですね。
再建築不可物件の売却に関しては、正直な話、買い手が限られるので、戦略がほぼ決まっています。
そのため、あとはその戦略をひたすら実行していくことが大切です。
しかし、不動産の素人ができることには限界があります。
なので、再建築不可物件をスムーズに売却するためには、信頼できる不動産会社や担当者の力が必要です。
【まとめ】再建築不可物件の売却は不動産会社に相談しよう!
再建築不可物件を相場価格で売却するのは、かなり厳しいです。
「活用性が低い」「住宅ローンが利用できない」などのデメリットがあり、人気がないからです。
しかし、そんな再建築不可物件も、「隣地の人に売る」「投資物件として売却」など、当記事で紹介してきた戦略を取れば、高く売れる可能性があります。
なので、まずは「あなたの再建築不可物件の状況」を把握する必要があります。
「どのような状況にあって、どのような対策が取れるのか」がわからなければ、行動しようがありませんよね。
でも、この記事を読んでもらえたならわかりますが、再建築不可物件の売却は、法律や隣地との関係が複雑に絡んできます。
正直、不動産初心者が独自に情報収集して対応していくのは不可能に近いです。
下手に手を出せば、取り返しのつかないトラブルになることさえあります。
ですから、まずあなたがやるべきは、知識と経験のある「信頼できて優秀な担当者」を見つけることです。
不動産担当者が優秀であれば、あなたが頑張って情報収集なんてしなくても、率先して「再建築不可物件を高く売るための戦略」を立ててくれます。
では、そのような優秀な担当者をどうやって見つけるのか?
その方法として、当編集部では一括査定サイトの利用を推奨しています。
一括査定サイトを使って複数の査定を取れば、査定結果を比較できるだけでなく、不動産会社(担当者)も比較できるので、優秀な担当者が見つかりやすくなるからです。
もちろん、再建築不可物件の売却に関する相談もすぐにできます。
私(編集長)も、売却前は必ず一括査定サイトを使って、査定額と担当者を徹底的に比較しています。
また、当編集部では、日本にある一括査定サイトを全て検証し、「本当に使うべき不動産一括査定サイト」を比較しています。
この記事を参考にしてもらえれば、査定サイト選びに失敗することはないです。
再建築不可物件の販売が得意な担当者を早く見つけて、「高値&早期」の売却を目指しましょう!