聞き手
このようなケースで悩んでいる4LDKマンションの所有者は多いです。
「日本は人口減少真っただ中。だから4LDKマンションに対するニーズが減っているのでは?」と考えるのが普通ですよね。
しかし、営業マンとしてたくさんの不動産売却に関わってきた立場から話すと、4LDKマンションは意外にメリットが多く、密かに人気もあるので問題なく売れます。
もしあなたのマンションがいつまでも売れないのなら、それは4LDKのメリットを買主にちゃんとアピールできていないか、もしくは適切なセールスができていない可能性が高いです。
「4LDKの特徴」をしっかり理解すれば、あなたのマンションは逆に強い魅力を持つ物件になります。
この記事では、不動産営業として仕事をしてきた経験から「4LDKが苦戦する理由」や「その対策法」についてわかりやすく解説していきます。
4LDKのマンションをしっかり売り切るために、この記事で基本的な知識を身につけてみてください。
4LDKのマンションが売れない(売れにくい)のはなぜ?
4LDKマンションが売れない(売れにくい)とされている理由で多いのは、主に2つです。
- 部屋数が多すぎる
- 価格が高い
それぞれ具体的に解説します。
部屋数が多すぎる
4LDKのマンションが売れない1つ目の原因は「部屋数が多い」ためです。
日本は年々、「核家族化&少子化」が進み、以前に比べて部屋数を必要とする世帯が確実に減少してきています。
総務省統計局のデータでは、1世帯あたりの人数の全国平均は2.33人で、3人を割っているのです。(平成27年現在)
引用元:総務省統計局
仮に1家族3人だとして、それぞれに1部屋必要だとしても、3LDKの部屋があれば十分な広さを確保できます。
家族の人数が減っているため、部屋を4つ必要としない人たちが増えた結果、4LDKの需要が少なくなってきているのです。
価格が高い
2つ目の売れにくい原因は「価格が高い」です。
マンションの販売価格は、平米数が広くなるほど高くなります。
仮に、同じマンションの同一階にある3LDKよりも4LDKの方が値段は上がるのです。
中古マンションを購入する側にとって、「価格」は重要な要素。
引用元:SUUMOジャーナル
SUUMOが調査した「マンション購入の際にゆずれないと思った条件」のランキングでも価格がトップで、半数以上の人が「価格」をチェックしています。
また、部屋の広さは、販売価格のみならず「管理費&修繕積立金(ランニングコスト)」にも影響します。
広い部屋を購入すると、毎月のランニングコストも同時に上がるのです。
部屋数が必要ない上に、金額まで高いとなれば、4LDKマンションの売却活動がスムーズにいかないのは、ある意味で仕方がないのかもしれません。
4LDKのマンションに需要はあるのか?
敬遠されがちな4LDKのマンションですが、だからと言ってまったく売れないわけではありません。
4LDKも、割合的には3LDKと同じくらいの需要があります。
下の表は、不動産経済研究所がリリースしている首都圏と関西圏のマンション市場動向(2020年3月度)の一部抜粋です。
首都圏(2020年3月度) | 販売(戸) | 成約(戸) | 成約率(%) |
3LDK | 1,222 | 844 | 69% |
4LDK | 101 | 60 | 59% |
関西圏(2020年3月度) | 販売(戸) | 成約(戸) | 成約率(%) |
3LDK | 840 | 572 | 68% |
4LDK | 127 | 87 | 68% |
首都圏、関西圏いずれにおいても、4LDKが3LDKに比べて、圧倒的に供給が少ないです。
しかし、「成約率」に目を向けると、首都圏では「10%程度」しか変わらず、関西圏に至っては「まったく同じ」です。
このことから、4LDKは探している人は限られるものの、供給自体も少ないため、成約率は3LDKと変わらないと言えます。
他の月でも調査したところ、多少の誤差はあるものの同じような成約率でした。
なので、4LDKのマンションもちゃんと需要があると判断できます。
4LDKのマンションでも高く&早く売れる3つの対策
ここからは、4LDKのマンションを売るための対策について紹介します。
- まずは「基本的な対策」を取る
- ターゲットを見極める
- 4LDKのメリットをアピール
どの要素も大切なので、一つずつ詳しく解説していきます。
あなたのマンションはちゃんとクリアできているか、読みながら確認してみてくださいね。
【対策1】まずは「基本的な対策」を取る
まずはあなたのマンションが、基本的な対策のもとに販売されているか確認してみましょう。
確かに、4LDKであることが売れない要因の一つになっている可能性はあります。
しかし、先ほどお伝えしたように、4LDKでも一定の需要は期待できるのです。
そのため、マンションが売れていない理由は、他にも考えられるはず。
例を挙げると、
- 不動産会社(担当者)が無能
- 「老朽化」が進んでいる
- ランニングコストが高い
- 立地が悪い
- 価格が適正じゃない
- ライバル物件が多い
- 部屋が汚い
などさまざまな問題が考えられます。
特に「売却を依頼する不動産会社や担当者の仕事ぶり」を見直すことは最も需要。
不動産を高く早期に売却できるかどうかは、「不動産会社や担当者しだい」だからです。
経験があって能力も高く、仕事のできる担当者であれば、すべて丸投げの状態でもちゃんと売ってくれます。
仮に売れない場合も、的確なアドバイスや問題解決の提案をし、ちゃんと売り切ってくれます。
もし、今の担当者が「信頼の置けない人」なのであれば、不動産会社を変えたらすぐに売れるかもしれません。
マンションの売却の成否は「売却を依頼する不動産会社や担当者がすべて」といっても過言ではないのです。
以下の記事では、不動産会社が売れない理由になっていることの詳細や、その他の基本的な対策についてまとめているので、一度チェックしておくことをオススメします。
【対策2】ターゲットを見極める
4LDKのマンションの売却には、ターゲットを見極めることが大切です。
4LDKのマンション売却で狙いたいターゲットは、「優先順位の1位が部屋数や広さを求めている人」。
例えば、以下のような人たちを上手くアピールできれば、早期の売却を見込めます。↓
- 家族の人数が多い人
- 自宅で仕事や作業する人
- 衣類や趣味のモノが多い人
- 広いリビングダイニングを希望する人
自分のマンションを必要としているターゲットを知れば、それに合わせた宣伝ができ、より売れる確率が高まります。
【1】家族の人数が多い人
「子どもが多いファミリー」や「3世代で生活する家族」にとって、4LDKは必須の間取りです。
家族が多ければ、その分必要な部屋数が増えるからです。
4LDKの場合、子どもが3人いたとしても1人に1部屋ずつを与えられます。
「同性であれば一緒の部屋でいいんじゃない?」とお考えかもしれませんが、思春期に差し掛かると、たとえ同性であっても「一緒の空間にいる」というだけで喧嘩したりするものです。
私の親友の子供たちがそうでした。笑
また、受験生になると生活のリズムも変化するので、確実に1部屋あるほうが学習効率はアップしますし、集中できる環境は合格率にも良い影響を与えます。
さらに、「両親、子、孫」で暮らす3世代のファミリーについても、それぞれにプライバシーを確保できるスペースが必要です。
このような理由から、家族数が多いファミリーにとって、広い3LDKの部屋よりも多少コンパクトでも部屋数が多い4LDKが好まれます。
【2】自宅で仕事や作業する人
フリーランスやリモートワーク、副業する人たちにとっても4LDKは好まれる間取りです。
このような人たちは、生活スペースとは別に「仕事や作業に集中する環境」を欲しているからです。
例えば、テレビ会議で打ち合わせする際、背景に生活感のあるベッドが見えていたり、子どもたちが騒ぎまくったりしていると、気になって仕事に集中できませんよね。
ベビーシッターや家事代行サービスで有名な「株式会社キッズライン」の調査によると、子どもを見ながら在宅で仕事をすると75%以上の人が「集中できない」と答えています。
引用元:PRRIMES
しかし、4LDKなあら1つの部屋を「書斎」や「ワーキングスペース」として活用できるため、集中できる環境が手に入り、上記のような問題が解決されるのです。
プライベートな空間と作業スペースを分けることで、作業効率も上げられるのでおすすめです。
【3】衣類や趣味のモノが多い人
オシャレで洋服をたくさん持っている人やキャンプや釣りなどが趣味の人は、確実にターゲットになります。
こだわりが強い人ほど、モノが増えてくる傾向があり、専用の収納スペースが必要になるからです。
私は過去に1部屋が全て衣装部屋になっている4LDK中古マンションの売却を担当したことがあります。
売主さんは、家族みんなオシャレが趣味な感じの良いご家族でした。
当初はクローゼットで間に合っていたそうなんですが、お子様が成長するにつれ段々と服が増え、徐々に収納スペースが足りなくなったそう。
そこで、1部屋を丸々ウォークインクローゼットのようにリフォームされたとのことでした。
この話を聞いて、「そんな使い方ができるのか!?」と驚いたことを今でもよく覚えています。
これは洋服だけではなく、趣味でモノが多い人にも当てはまる話です。
もし買主さんがオシャレな人や、こだわりのありそうな人であればそのような提案も効果的ですよ。
【4】広いリビングダイニングを希望する人
最後のターゲットは、広いリビング・ダイニング(以下LDとします)を希望している人です。
4LDKの間取りは、リフォームすれば広い3LDKとしても使うことができます。
大抵の4LDKの場合、LDに隣接して部屋があります。
その部屋をLDに取り込むことで、大きな空間を実現できるのです。
上記は、私自身が以前マンションを購入したときに活用した方法で、そのマンションは4LDKでしたが、LDがかなりコンパクトでした。
そこで思い切って拡張のリフォームしたところ、すごく快適な空間に生まれ変わったのです。
もし3LDKで同じことをすると、1部屋がなくなり、2LDKとして使わなければいけません。
そうすると、4人家族だと部屋数が足りなくなります。
その点、4LDKなら1部屋なくなったとしても残りが3部屋になるので、まったく問題はありません。
大は小を兼ねるとはまさにこのことですね!
【対策3】4LDKのメリットをアピールする
ここからは、4LDKならではのメリットをお伝えします。
買主さんに上手にアピールできるよう、自分のマンションの良さを改めて確認してみてください。
- 希少性
- 専有部の広い・部屋数が多い
- 収納スペースが充実
【1】希少性
4LDKの間取りはそもそも数が少なく、希少性が高いです。
2020年に首都圏で販売された新築マンションの戸数からも、4LDKがいかに希少かがわかります。
2020年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
3LDK(戸) | 720 | 975 | 1222 | 330 | 210 | 920 |
4LDK (戸) | 47 | 80 | 101 | 39 | 3 | 121 |
3LDKと比べた4LDK割合(%) | 6.5% | 8.2% | 8.2% | 11.8% | 1.4% | 1.3% |
2020年 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
3LDK(戸) | 1501 | 1059 | 1654 | 2145 | 1744 | 5099 |
4LDK (戸) | 102 | 65 | 134 | 111 | 150 | 410 |
3LDKと比べた4LDK割合(%) | 6.7% | 6.1% | 8.1% | 5.1% | 8.6% | 8% |
データは新築マンションですが、中古市場でも似たような傾向です。
以前に4LDKマンションの売却を担当した際、ホームページに情報をアップした瞬間から、問い合わせの電話が10分ほど鳴りっぱなしということがありました。
4LDKの間取りは、探している人が限られる一方で、市場に流通している数も少ないため、希少性があるのです。
【2】専有部の広い・部屋数が多い
4LDKの間取り最大の特徴は、部屋が4つあるため専有部が広く、使い方の選択肢が多いことです。
部屋数が多いといろいろな使い方ができます。
- 書斎
- 筋トレ部屋
- ベッドルーム
- シアタールーム
- リモートワークスペース
- 特大のウォークインクローゼット
上記は一例ですが、住んでいる人の趣味や生活スタイルに合わせて使えるので、暮らしが楽しくなります。
もし、部屋数が不要なら、「【4】広いリビングダイニングを希望する人」で紹介したように、部屋を1つなくして、広いリビング・ダイニングにすることも選択肢の1つ。
お客さんを呼べば、「芸能人が住むマンションみたい!」と驚かれることでしょう。
これは実際に私が言われてうれしかった言葉です。笑
どの使い方も部屋が広いからこそ実現できるメリットです。
見学に来た買主さんに合わせて、いろいろな使い方を教えてあげると喜ばれますよ。
【3】収納スペースが充実
4LDKのマンションは、とにかく収納スペースが広くて多いことも大きなアピールポイントです。
「部屋が多い=生活する人も多い」ことで、それに対応できるように大容量の収納が備え付けられています。
ウォークインクローゼットをはじめ、シューズインクロークなどは、4LDKの間取りに多く存在しています。
さらに、キッチンや洗面台もひと回り大きな規格が使われている傾向があり、その分収納スペースが他の間取りに比べて多く取れれます。
普段当たり前に使っている収納が、実は買主にとって大きなメリットになる可能性があることをしっかりと認識しておきましょう。
【まとめ】4LDKのマンションでも正しく対策すれば売れる!
今回は、4LDKのマンションを売るための対策について紹介しました。
- まずは「基本的な対策」を取る
- ターゲットを見極める
- 4LDKのメリットをアピール
日本では、人口減少により1世帯あたりの人数が3人を割っています。
なので、4LDKでは部屋数が多すぎる上に価格が高く、販売が長期化するのは事実です。
しかし、4LDKの特徴をしっかり把握し、問題点に正しく対処できれば、4LDKの特徴は逆に武器になり、売却は十分に可能です。
そのためには、あなた自身の努力も必要ですが、それ以上に問題点を適正に把握し、改善に導いてくれる不動産会社選びが大事。
実際に私が以前働いていた不動産会社で、4LDKマンションが得意な営業マンがいました。
その人からすれば、「4LDKの間取りは提案するアイディアが豊富にあって、むしろ3LDKよりも売りやすい」と言っていました。
このような担当者に任せたら、すぐに売ってくれると思いませんか?
買主は、中途半端に勧めてくる営業マンよりも、自信を持ってたくさんアイディアを与えてくれる営業マンから買います。
なので、売主の努力の方向性としては、「知識をつける努力」よりも「優秀な担当者を見つける努力」の方が重要なのです。
逆に、優秀な担当者を見つけることができなければ、売れないのは当たり前です。
担当者がサボっていたり、囲い込みなどのズルをしていたら、どんなに良い物件でも売れませんよね。
過去に「他社ではまったく売れませんでした・・・」と駆け込んできたお客様がいましたが、先ほどの営業マンが担当した瞬間に売れたというのを目の当たりにしたことがあります。
正直な話、営業担当者の力量によって、あなたの不動産は「宝石」にもなれば「石ころ」にもなるのです。
もし、今の不動産会社や担当者に違和感を感じているのであれば、思い切って不動産会社を変えることも検討してみてください。
上手くいっていないことを繰り返していても、悪い状況は決して変わりません。
これ以上、売れない状況で辛い思いをするのはやめて、問題を改善するための行動をとってみてください。
では、どうやって優秀な担当者を見つけるのか?
その方法として、当編集部では一括査定サイトの利用を推奨しています。
一括査定サイトを使って複数の査定を取れば、査定結果を比較できるだけでなく、不動産会社(担当者)も比較できるので、優秀な担当者が見つかりやすくなります。
私(編集長)も、売却前は必ず一括査定サイトを使って、査定額と担当者を徹底的に比較しています。
また、当編集部では、日本にある一括査定サイトを全て検証し、「本当に使うべき不動産一括査定サイト」を比較しています。
この記事を参考にしてもらえれば、査定サイト選びに失敗することはないです。
営業マンにも得意な分野があるので、話を聞く際に「4LDKマンションの販売経験」を聞いてみてください。
4LDKマンションの売却が得意な担当者を早く見つけて、「高値&早期」の売却を目指しましょう!